歯ぎしり・食いしばりについて
- 朝起きた時に顎関節や歯茎が痛むことがある
- なかなか治らない慢性的な頭痛や肩こり・首こりがある
- 歯や詰め物にヒビや破折・すり減りが生じている
- 以前よりもエラが張っている、顔が大きくなった
- 睡眠中の歯ぎしりを家族から指摘された
- 舌の縁に歯の跡がついている
上記のような症状に当てはまる方は、睡眠中に上下の歯を左右にこすり合わせる「歯ぎしり」や、無意識に上下の歯をギュッと強く噛み締める「食いしばり」を行っている可能性があります。歯ぎしりや食いしばりはブラキシズムとも呼ばれ、早めに対処しないと全身にさまざまな影響を及ぼすおそれのある悪習慣です。
歯ぎしりや食いしばりは睡眠中や集中している時などの無意識下で行われるため、自覚がない方が多いだけでなく、意識的な制御も効かないため通常のかみ合わせの数倍〜10倍ほど強い力がかかります。
そのため長い期間歯ぎしりや食いしばりを続けていると、歯や歯茎・顎関節に大きな負担をかけ、歯の破折や顎関節症、歯周病の悪化、頭痛、めまい、耳鳴りなど全身にさまざまな症状を引き起こす可能性があります。
ご自身でコントロールすることは非常に難しいため、歯ぎしりや食いしばりを疑う症状がある方や気になる症状がある方は早めに歯科医師にご相談ください。
レーザーによる歯ぎしり・食いしばりの治療
歯ぎしりやくいしばりによる顎の痛みや筋肉の緊張に対して、レーザー治療を行っています。顎関節やその周囲の筋肉にレーザーを照射することで、血流を促進し、硬くなった筋肉の緊張を和らげ、痛みを軽減する効果が期待できます。薬を使わずに行える治療のため、副作用の心配が少なく、繰り返しの施術も可能です。顎の不快感やこわばりが気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。
歯ぎしり・食いしばりの原因
歯ぎしり・食いしばりの原因はいまだに詳しく解明されていませんが、以下の事柄が大きく関係しているといわれています。
歯並びやかみ合わせの乱れ
詰め物や被せ物の高さが合っていない場合や、かみ合わせに乱れが生じている場合に、歯ぎしりや食いしばりの症状が出やすいといわれています。かみ合わせの乱れの原因を突き止め、左右バランスのとれた正しいかみ合わせに改善することで歯ぎしり・食いしばり症状を改善します。
ストレス
ストレスや過度な緊張が歯ぎしりや食いしばりの原因となっているといわれています。
ストレスの原因となっている事柄を解決し、規則正しい食生活や十分な睡眠・適度な運動などを心がけ、リラックスすることが歯ぎしりや食いしばりの改善につながります。かみ合わせや詰め物・被せ物にも問題が生じている場合にはそちらの治療を早急に行いながら、ストレスを軽減する生活を意識するようにしましょう。
寝具が合っていない
枕の高さやマットレスの硬さが合っていない方は歯ぎしりや食いしばりの症状が起こりやすいといわれています。
高すぎる枕や沈みすぎてしまうマットレスは、首に角度がつき奥歯をかみしめる姿勢になりやすいことや、呼吸が浅くなり深い睡眠を妨げることが歯ぎしりや食いしばりにつながります。
寝具を見直し、睡眠時の姿勢を改善することで歯ぎしりや食いしばり症状を軽減できる可能性があります。
集中している時間が長い
睡眠中だけでなく日中にも、仕事や勉強に集中している時には無意識に歯を食いしばってしまうことが多いです。通常リラックスしている時は上下の歯がかみ合わずにわずかに隙間があいています。無意識のうちに上下の歯をかみ合わせてしまっている時は意識的に上下の歯を離すように気をつけましょう。
歯ぎしり・食いしばりの種類
グラインディング(歯ぎしり)
上下の歯を強く噛み締めた状態で左右にギリギリとこすり合わせる動きをすることをグラインディングと言います。睡眠中に行っていることがほとんどですが、歯をこすり合わせる音が周囲にも聞こえるため家族から指摘されやすく、早めに対処しやすいです。
歯を左右にこすり合わせる動きは歯のすり減りや詰め物・被せ物の破損が生じやすく、歯周組織や顎関節にも大きな負担をかけやすいです。
クレンチング(食いしばり)
上下の歯を強く噛み締めることをクレンチングといいます。クレンチングは睡眠中だけでなく日中にも行われることが多いですが、本人の自覚が少なく、周囲からも気付かれにくいので対処が遅れやすいです。
クレンチングで歯や歯茎にかかる力は通常の倍以上で50〜100kgを超える力がかかっているといわれています。そのため歯の破折や顎関節症、頭痛や肩こり・首こりなどさまざまな症状を引き起こしやすいです。また、クレンチングをしている方は咬筋が肥大化してエラが目立つようになったり、顔が大きく見えるようになったり、見た目にも影響を及ぼしやすいです。
タッピング(歯をカチカチ鳴らす)
上下の歯をリズミカルにかみ合わせ「カチカチ」と音を鳴らす動きのことをタッピングといいます。グラインディングやクレンチングのように強い力がかかることは少ないですが、睡眠中だけでなく日中にも症状が出やすいので周囲から指摘されることが多いです。
歯ぎしり・食いしばりがもたらす悪影響
歯ぎしりや食いしばりでかかる力は非常に強いため、お口だけでなく全身にさまざまな影響を及ぼします。そのまま放置していると、抜歯など取り返しのつかない症状を招くおそれもありますので、気になる症状がありましたらできるだけ早めにご相談にいらしてください。
歯や歯根の破折
歯ぎしりや食いしばりによって歯に過度な力がかかり続けていると、歯の破折を招くおそれがあります。
特に詰め物や被せ物の高さが合っていない歯は重点的に力がかかってしまうため注意が必要です。
また、歯の破折だけでなく、歯根の破折を引き起こす可能性もあります。歯根破折は抜歯リスクを非常に高めてしまいます。
歯周病を悪化させる
歯ぎしりや食いしばりによって歯周組織に過度な力がかかり続けると、歯槽骨の吸収を進めやすく、歯周病の悪化を招きます。
歯周病も抜歯リスクを高める非常に危険な病気ですので早めに改善する必要があります。
詰め物・被せ物が取れやすい
特に歯ぎしりがある方は詰め物や被せ物が取れやすくなります。上下の歯をこすり合わせることで接着の強度を弱めたり、詰め物・被せ物の破損を招いたりします。
顎関節症
歯ぎしりや食いしばりは歯だけでなく顎関節にも大きなダメージを与え、顎関節に痛みや不調が生じるおそれがあります。
口が開けづらい症状や口を開け閉めするとカクカクと音が鳴る症状がある場合は顎関節症の可能性があります。
歯ぎしり・食いしばりの治療方法
マウスピース(ナイトガード)
マウスピース(ナイトガード)を睡眠中に歯に装着することで、歯ぎしり・食いしばりによるダメージを軽減します。
マウスピースによってかみ合わせを高くすることで、強く噛むことを防ぎ、力を分散させます。
市販のマウスピースもありますが、お口の大きさや歯並びに合っていないマウスピースを使用してしまうと、かみ合わせを乱すおそれや顎関節を招くおそれがあります。歯科医院できちんと歯型を採取して作製したマウスピースを使用するようにしましょう。
マウスピースのメリット
- 睡眠中にかかるダメージを軽減することができる
- 歯のすり減りや詰め物・被せ物の破損を防ぐことができる
- 顎関節症の症状を緩和することができる
- かみ合わせを調整することができる
マウスピースのデメリット
- 慣れるまで装着時の違和感や不快感がある
- 正しいケアをしないと不衛生になる
子どもの歯ぎしりと大人の歯ぎしり
子どもの歯ぎしり
子どもの歯ぎしりは大人の歯ぎしりとは異なり、歯や顎の骨の成長に伴う生理現象として生じることが多いです。特に、乳歯と永久歯が混在する小学生の頃の歯ぎしりはかみ合わせのバランスを調整するために行う歯ぎしりだといわれているため、治療は特に必要ありません。ただし、あまりにもひどい歯ぎしりや、歯や歯茎・お口周りの筋肉などにダメージが生じている歯ぎしり、中学生になっても続く歯ぎしりなどは、マウスピース治療が必要になる場合もあります。
大人の歯ぎしり
大人の歯ぎしりはストレスやかみ合わせ、睡眠時無呼吸症候群などとの関連性が指摘されています。
歯のすり減りや破折を招いたり、顎関節症を引き起こしたり、歯周病を悪化させるなど全身に悪影響を及ぼすおそれがあるため、マウスピース治療で歯や歯槽骨、顎関節への負担を軽減します。